The Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act(CARES法)では、雇用主が、COVID-19によって、経済的困難に直面しながらも、従業員保持控除(ひとり当たり最大$5,000)を給与処理に適用することによって、給与税の一部が免除となります。
雇用主が従業員に支払う賃金の50%に相当する給与税の一部が控除(免除)されます。適格賃金の最大は、従業員ひとりあたり、$10,000なので、従業員ひとりあたり、最大$5,000分が控除(免除)されます。
- 2020年3月12日以降、2021年1月1日より前に支払われた賃金が控除の対象。
- 従業員数100名以下の場合は、実際に働いているか否かに関係なく、すべての従業員に支払われた賃金が控除の対象。
- PPP (PAYCHECK PROTECTION PROGRAM)の融資を受けている中小企業は対象外。
- たとえば、月給$3,000の従業員の場合、約3.33か月間が控除の対象期間(※長期に渡り、免除されるのではないことを必ず留意)。
- グループ健康保険の雇用者負担分を、賃金に含めて控除が可能(※詳しくは、下記の給与サンプルを参照)。
- FFRCA等で、病欠有給休暇の控除を受けている従業員には併用できない。
FFRCAにおける給与税の一部免除については、下記の日本語解説を参照
http://twomiles.net/COVID-19_ffcra.html
PPP(Paycheck Protection Progrm)の融資を受け取ることができなかった方や、これから、PPPに応募をご検討されている方につきましては、下記をご確認ください。
- 融資業者への審査がない分、お手軽で、Payroll companyが、2020年2Qから、IRSにForm 941を四半期ごとに申告するのみ。
- 四半期ごとの売上比率で、適格雇用主であるかを判断する場合、特に1Qで50%以下の売上比率でない場合は、四半期ごとの判定となるため(次の判定が2Qが終わった後になるため)、資金繰りに窮している場合は、PPPへの申請を優先したほうがよい。
- 非常事態宣言が収束したとしても、テイクアウトやデリバリーがメインのレストランでは、すぐに、以前のようなチップを稼ぐのが厳しく、これにより、PPPでは、融資免除額が、思っていたよりも、小さくなるリスクがある。
- 失業手当の給付額が、従業員の収入を上回っている場合、従業員が仕事に戻ってこない可能性があり、この影響で、PPPでの免除額が、思っていたよりも、小さくなるリスクがある。 (※Employee Retention Creditでは、雇用主が主体となって、従業員に支払った給与の50%が、確実に控除される。)
PPPについては、下記の日本語解説を参照
http://twomiles.net/COVID-19_ppp.html
下記の2つのいずれかを満たす必要があります。
● COVID-19に起因する商業、旅行、またはグループミーティング(商業的、社会的、宗教的、またはその他の目的)を制限する政府当局からの求め(order)により、雇用主の事業が完全または部分的に停止している場合、もしくは、
● 雇用主の総収入が2019年の同じ四半期の50%を下回っている場合。ただし、雇用主の総収入が2019年の同じ四半期の80%を超えると、本資格を失う。
※ただし、Self-employed individuals(a sole proprietor, an independent contractor and a member of a partnership, a single member LLC)の控除は対象外だが、従業員への給与に対しては、控除の対象となる。
【具体例】
(1)重要なビジネスのサプライヤーが、政府の命令により、サプライヤーの操業を停止させたために、重要な商品または材料の配送を行うことができない場合、完全または部分的な操業停止と見なされる場合がある。
(2)政府の命令により、小売店先などの場所を閉鎖せざるを得ないが、オンラインでの注文をWebサイトで継続している場合は、政府の命令により、部分的に停止されたと見なされる。
(3)車修理会社等のように、顧客が家にいるからと言って、重要なビジネスの操業停止とはみなされない。
(4)スーパーマーケット等で、顧客がSocial distanceを取っているのは、COVID-19の蔓延を防ぐものであり、Employee Retention Creditの目的にあたるGovernmental order には該当しない(顧客がSocial distanceがとっているだけでは、適格雇用主とは認められない)。
総収入の大幅な減少とは、たとえば、2020年度の第一四半期と2019年度の第一四半期を比較して、総収入が50%以下であることを意味します。もしも、80%以上であれば、対象外になります。
CARS法では、総収入の大幅な減少がCOVID-19に関連している証明の要求はしていませんが、雇用主は、IRSレビューのために、2019年と2020年の総収入の記録を、少なくとも、4年間、保管する必要があります。
【具体例】:下記の表では、2020年の第1四半期では47.62%ですので、総収入が大幅に減少したと言えます。その後、 2020年の第2四半期から、80%を超えたので、この雇用主は、第1および第2四半期に関してのみ、Employee Retention Credit(従業員補助控除)を受け取ることができます。
※ただし、COVID-19による活動制限を政府当局から求めれたことにより、引き続き、雇用主の事業が完全または部分的に停止している場合には、3Qにおいても、控除の上限金額に達していないのであれば、Employee Retention Credit(従業員補助控除)を受け取ることができます。
※同様に、2020年度に開業し、昨年度比較ができないケースであっとしても、COVID-19による活動制限を政府当局から求めれたことにより、雇用主の事業が完全または部分的に停止している場合には、控除の対象となります。(Q1を参照)。
※カリフォルニア州では、州のOrderにより、店内で食事をするレストラン、バーやナイトクラブ、エンターテインメント会場、ジムやフィットネスクラブ、公開イベントや集会、コンベンションセンター、美容院やネイルサロンについては、業務のクローズが明記されているため、これらの業種は、売上比率に関係なく、Employee Retention Creditの対象となります。
https://covid19.ca.gov/stay-home-except-for-essential-needs/
フルタイムの従業員が100人以下の場合の適格賃金とは、従業員が実際に働いたかどうかにかかわらず、COVID-19による規制と総収入の大幅な減少の期間中に、従業員に支払われた賃金であり、これに基づいて、税額控除を受けとることができます。
- チップについては、これに含まれず、通常の給与処理。
- FFCRAに基づく、病欠または家族休暇の控除をを受け取っている賃金には含めることはできない(複数の控除を併用することはできない)。
FFRCAにおける給与税の一部免除については、下記の日本語解説を参照
http://twomiles.net/COVID-19_ffcra.html
【適格賃金とはならず、控除できない具体例】
(1)退職金や、退職後の元従業員への支払いについて、Employee Retention Creditは控除できない。
(2)JビザやOPTは、Social security taxやMedicare taxが免除なため、Employee Retention Creditは控除できない。
(3)関連する個人に支払われる賃金は対象外。具体的には、雇用者の子供または子供の子孫、兄弟、姉妹、継兄弟、または義姉、父親か母親、またはどちらかの祖先、継父または継母、姪または甥、叔母または叔父、義理の息子、義理の娘、義父、義母、義兄弟、または義姉に対して、Employee Retention Creditは控除できない。
(4)直接または間接的に法人の発行済み株式の50パーセントを超える個人に対しては、Employee Retention Creditは控除できない。
● 通常給与としてプロセスしたとしても、また、Employee Retention Creditとしてプロセスしたとしても、給与税そのものは同額なため、従業員的には、手取り金額は同じ(※下記の(1)と(2)を比較参照)。
● Employee Retention Creditを採用することで、“給与のGross金額”と“会社が負担しているグループ健康保険”の合計の50%が、給与税控除となる。
● これにより、Payroll Expenseに小さくなり、場合によっては、ネガティブになる(※下記の(3)を参照)。
● Form 941(Federal income tax, Social security tax、Medicare tax)の総額が、ネガティブの場合は、それがプラスに転じるまで、たとえ、翌期になったとしても、給与税を納税する必要がない。
● チップを、Employee Retention Creditに含めることはできない。
従業員ひとりあたりの控除額が最大$5,000(適格賃金が最大$10,000)であるため、賃金が$10,000を超えると、それ以上、控除を受けとることはできない。