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【2022年12月】
年末にできる節税対策

References > Reports 
(記載:12/7/2022)

概要


2022年は、インフレや労働力不足でビジネス運営に関して多くの影響があった年でした。特に、今後の先行きがかなり不透明でもあるため、将来への蓄えを作ることが大切かと思います。このような特殊な状況を考慮した上で、一般的な節税対策に関して、以下でご紹介いたします。
 

  節税対策の事例

事例1: Cash-basis (現金主義) で申告する方 へ (Schedule Cで申告される個人事業主、および現金主義を選択されている会社)

現金主義で申告書を作成する人は、サービスの提供時期に関わらず、2022年中に、実際に受取った金額が売上となります。このため、売上の入金月(正式には支払いの受け取り時期)が2023年となれば、2022年の売上に含める必要はありません。もし、入金を遅らせることに経営上の支障がなければ、税金の繰延効果があります。 同様に、費用においても2022年中に支払ったものは2022年の必要経費となります。しかし、通常のビジネスの慣習外の無理な前払いをしても、2022年度の経費とは認められません。

事例2: Accrual method (発生主義)で申告する方へ (発生主義を選択されている個人事業主及び会社)

C Corpが対象となりますが、決算後、2ヶ月半後までにオーナー以外の従業員に支給するボーナスは、支給年の前年の費用とすることが出来ます。これにより、2023年3月15日までに支給するボーナスは、2022年の費用となります。また、これに似たものとして、寄付金控除についても同様な適用となっています。

事例3: 不動産収入がある方

不動産賃貸業は、原則、Passive activityとなるため、もしこの事業で損失が発生しても、Passive loss limitation rulesの適用を受け、一定の条件を満たさなければ、通常、他の所得の黒字と損益通算ができないことになっています。しかし、不動産賃貸業であっても、事業への参画度合いによって、一定額もしくは全額を他の所得と損益通算できるようになります。ただし、この判断は高度な知識が要求されますので、対象となりそうな方はご相談ください。

事例4: S corporationを所有している方(S会社オーナー)

ご存知の通り、S corporation (以下、S Corp) で発生した損益は、課税上、オーナーの申告書に反映されます。つまり、S Corpでの損失はオーナー個人の申告書にパススルーされ、他の所得から控除することになります。しかし、S Corpからパススルーされる損失は無制限に利用できる訳ではなく、オーナーのS Corpへの持分額(basis)が上限となります。したがって、S Corpの損失が多額になる場合は、basisを増加させておく(出資額を増やす)ことで、S Corpの損失を有効に利用することが出来ます。

事例5: 減価償却資産の購入

通常、減価償却資産は将来にわたり償却していくのが普通ですが、一定の動産は、総額$1,080,000(2022年) まで初年度に全額償却することが出来ます(年間を通しての資産の購入金額が$2,500,000を超えると、一括控除に関しての制限があります)。もちろん、十分な所得がない場合は、将来に渡り、償却していくことも可能です。

事例6: 現金が手元にない場合

現金が手元にない場合はクレジットカードを利用しての支払い、あるいは、物の購入も検討が必要です。クレジットカードの支払いが2023年になっても、2022年の経費として認められます。

事例7: 自営業あるいは法人(S Corp, LLC)のオーナー

自営業あるいは法人(S Corp, LLC)のオーナーの方で、かつ、専門家業務等に該当しないビジネスである場合は、ビジネス利益の20%を追加の所得控除として取ることが可能です。ただし、一定額以上の課税所得(独身の場合$177,050、夫婦合算申告の場合$340,100)がある場合は、支払われた給与額、取得された資産の金額による所得控除の制限が発生しますので、専門家にご相談ください。

事例8: 仕事で使用した経費

仕事で使った車の経費は、走行した記録が必要です。最低でも、年末時点で車のオドメーターからマイレージを記録しておきましょう。2022年度の経費計上のためのMileage Rateは1マイルあたり6月までが58.5セント、7月以降が62.5セントです。

事例9: 収入源のリストを作成

給料収入(Form W-2)、金利や投資収入(Form1099)に関しては、来年の1月末までに、お手元に届くはずです。今のうちに、どこからどのような書類が届くか、リストを作っておきましょう。

事例10: 税金還付のための情報整理

医療費、寄付金、固定資産税、Child Careの費用に関しては、すでに情報がほぼ揃っているものと思いますので、資料作成を開始できます。税金の還付を予想されている方は、早く申告をして、還付金を受け取るために資料が揃っているか確認を開始しましょう。なお、医療費は所得の7.5%を越えた部分のみが控除対象となります。多額の医療費の出費があった方は通院のマイレージも控除対象となりますのでマイル数なども計算に入れることが節税につながります。

事例11: 予定納税の検討

給料収入のように、税金の源泉徴収がされていない収入が大幅に増えた方は、不必要な税金の支払いの延滞利息を支払うことのないように、1月15日に予定納税の検討が必要です。なお、失業手当(Unemployment compensation )につきましても、個人申告時には、Gross incomeに含まれ、課税対象となりますので、予め、ご留意されてください。

事例12: 利息の支払いの検討

州税や固定資産税、不動産ローンの利息などを12月中に支払うことも検討しましょう。ただし、それぞれ控除枠(税金の控除枠は独身が$5,000,夫婦合算申告の場合$10,000)があります。
なお、S CorpやLLCのオーナーで州税の控除枠を超えた州税が発生する高額所得者の方はカリフォルニア州のAB150法により、別な方法で控除をすることも可能になりました。どうぞ専門家にご相談ください。 

事例13: 株式等の損失を売却

現株式やMutual Fundで損をしているものを売却して、損失を2022年度の申告に取り込むことを検討しましょう。ただし、株式の売却損失は$3,000までしか1年間あたりでは取り込めないので、それを超える損失が予想される場合は、値段が上がっている株式を売却することを検討しましょう。

事例14: 2022年の収入がかなり低い場合

Traditional IRAのアカウントを、Roth IRAに変更する(今年所得として申告して将来非課税とする)ことも場合によっては検討が必要です。詳しくは、専門家にお問い合わせください。収入の高い方は、Back door RothでRoth IRAに繰り入れることも可能です。

事例15: 大きな財産のある方の遺産税対策

譲渡益課税の強化や遺産・贈与税の非課税枠の大幅な減額が予想されます。現在、夫婦で約$24Millionまでの贈与は非課税ですが2026年にはこれが大幅に減額されることが予想されています。($13Millionなど)大きな資産をお持ちの方は、お子様などへの贈与を考える時でもあります。

以上が、代表的な12月中にできるTax Planningです。所得税は累進課税ですので、来年度の所得が低く予想される場合は上記が当てはまります。来年度の予想が今年度より大幅に高い場合は、逆に、控除項目を来年度に持ち越した方が良い場合があることも考慮されてください。

日本語解説(担当:五十川)

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