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コラム: 田楠治の「日々税々」税金こぼれ話
 




22.欧州自動車工場を1ユーロで売却?

皆さんは三菱自動車の欧州工場を1ユーロで売却という報道をご覧になりましたか。一瞬なんのことかわからなかった人もいるのではないでしょうか。

これは実は株の譲渡の話です。オランダにある三菱自動車の欧州生産子会社(その株主は日本の三菱自動車が85%、三菱モーター・ヨロッパ社が15%の株をそれぞれ所有)の全株、550,950株をオランダの会社に1ユーロで譲渡するという話しです。株の譲渡ならば譲渡益か譲渡損が発生するのは当たり前ですね。欧州生産子会社は1991年12月1日設立で、その資本金は現在250,012,000ユーロということです。ということは250,012,000ユーロの株を1ユーロで譲渡するわけですから250,011,999ユーロが譲渡損になるわけです。日本円に換算すると280億円程度の損失と発表されています。


つまり単純に言うと三菱自動車は280億円投資した事業がうまくいかず投資の回収がたった1ユーロということになります。自動車事業を取り巻く大きな環境変化の中で、全世界の生産体制を見直した結果の会社方針ということですが、結局多額の投資をした子会社をただでオランダの会社にあげてしまったと同じことになりますね。


なぜ譲渡対価が1ユーロなのでしょうか。実際はどうかわかりませんが、筆者の推察によれば、通常会社が投資をしたときには投資勘定に投資額が計上されますが、その投資事業に価値がなくなったときには、その投資勘定に日本で言えば1円の備忘価額を残して当初の投資額と1円の差額を投資損失見込(評価損)額として経理処理することがあります。三菱自動車の場合もすでに投資子会社の価値がほとんどなくなったため投資勘定を1ユーロの備忘価額にしていたのではないでしょうか。今回その1ユーロの備忘価額(帳簿価額)で譲渡したという推察です。1ユーロの株を1ユーロで譲渡するとそこには譲渡益も譲渡損も発生しませんが、先に計上していた投資損失見込(評価損)額が実現損失に変わるわけです。当事者でない者にその譲渡取引の詳細は知る由もないわけで、普通に考えると投資の回収のために株を少しでも高く売りたいと思いますが、今回の譲渡はやはり特別なケースで、譲渡しないで工場を閉鎖して従業員を解雇したりすると、その事後処理や解雇手当などの特別な支出が発生してその額は今回の譲渡損の280億円では済まない計算になるそうです。つまり三菱自動車としては欧州生産工場の投資事業は損失が生じることになるが、その損失をできるだけ少なく押さえたいという手段が今回の1ユーロによる株の譲渡になったということです。


わかりにくい話のついでですが、最後に税務上の扱いです。備忘価額を残して差額を投資損失見込(評価損)額として経理処理することがあると書きましたが、通常はこの処理では税務署は課税所得から控除できる損失とは認めてくれません。なぜなら投資の価値がなくなったという状況の説明は出来たとしてもそれを金額的にいくらの損失と計算することはむずかしく損失の確定ができないからです。でも実際に譲渡が発生すれば見込額が実現額として確定させることができるのでその損失は税務上も控除できることになります。



(注意)記事は税務上の一般的な説明をしていますので、実際のケースにあたっては専門家の意見を確認して下さい。

記事/田楠 治 (2012年7月20日記)

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